2014年5月4日日曜日

Ricoh GR熱(病)再び(その1)

皆様は、「リコー(Ricoh)」と聞いて、あるいは文字を見て何を思い出されるでしょうか?


 仕事場にある複写機かプリンターでしょうか、それともカメラでしょうか?

 私は周りにリコー製の複写機など事務機器がなかったこともあり、
 
 ●まず一番に思い浮かべるのは二眼レフのカメラです。
  ブローニー判といって幅広の巻フィルムを装着するカメラです。
   (「二眼里程標」ご参照:http://www.tlr66.com/pqrst/ricohflex7.php)

 ●二番目は、本格的にスナップ撮影に特化した高級コンパクト・フィルムカメラGR1。
   (株式会社リコーWebサイトご参照:https://www.ricoh.co.jp/camera/cameralist/GR1.html)
そして、今年2013年5月に発売された"The GR"ことデジタルGRです。

 恐らく、古い人でカメラを思い出される方の多くは、ハーフサイズのリコーオートハーフを思い浮かべられるかも知れませんね。これはGR1よりかなり前のカメラです。


今回のブログの標題が「よみがえったRicoh GR熱(病)」ですので、二番目のGRからお話しましょう。

 リコーが1994年頃にリコーR1という超薄型でグリップ付きのコンパクト・フィルムカメラを発売しました。使いやすそうだなぁと触手が動きました。更にさかのぼること10年前にCONTAX-Tが発売されCONTAX神話に毒されていた私でしたので早速購入しました。
 このころは馴染みのカメラ屋さんに通っていました。ほぼ毎日毎昼かもしれません。
 ぽっちゃりした綺麗で大きなサングラスを掛け頭にはネッカチーフを巻いた妖艶なおばさまが毎日店頭に坐って居られて、良くよもやま話をしたものでした。
 ここで買うと値段をまけてくれた上に、ゆるゆるの分割払い(何回払いでも良くて、月によっては多かったり少なかったりでも許してくれたような気がします)で売ってくれたのも私が大量にカメラを購入した要因でした。

 1993年にCONTAX-Tvsが発売され、これまた大枚叩いて入手して使用してましたし、外装がちょっと安っぽい薄い鉄板か何かでしたので、最終R1にまで触手が届きませんでしたが横目でにらみ続けておりました。
(CONTAX-Tについては、以前書きましたブロク「あるデジカメ考ーRX100について」もご参照ください。)

 ところが2年後、R1を更に高機能化、高品質化したGR1なるものが登場したのです!

 しかもボデイはマグネシウムダイカスト製になっています!

 でも、本当のところはどうなんだろうと、しばらく横目で流し目しておりましたら、雑誌等での評価は非常に高いのです。

 R1もそうでしたが、GR1はプロの写真家が企画に参画して使い勝手を練り上げた結果の好成績のようでした。

 GR1: http://www.ricoh.co.jp/camera/cameralist/GR1.html

 う~ん、としばらく考えます。

 買いたいけど、例によってそのための言い訳を考えているのです。

 実は、次の展開に至るまでに伏線がありました。

 それは、CONTAX-Tが余りにも上品で高級感が溢れすぎていて大変使いづらいという点でした。

 あのヌメッとした高級感あふれる塗装、悪くするとスルって手から落ちそうで絶対にストラップは手に巻いてから取り扱っていました。またレンズを引き出すために前蓋を下に開くのですが、ちょっと開けづらい。
 開けてピントを合わせるのですが、それが下に開いた前蓋を親指と中指で挟むような格好で細いレンズの周りのピントリングを回します。シャッターボタンが、これまた高級な京セラクレサンベールサファイヤ製なので、つるつるしています。
 シャッターを推す感触はクシュって静かでストロークも浅いのですが、なんか撮ったという実感が薄く、撮ったら撮ったで、次のフィルムを巻くときのレバーが、ボディーから突起状にならないようい沿う形に作られたラウンドなレバーなので、これを引き出すのが面倒くさいのです。

 兎に角、出会った瞬間に取りたいと思ったシーンを速攻バシバシ撮るというカメラでは全くなかったのですね。撮影するためには、うやうやしく取扱い、何点かの儀式が必要で、最終、撮るよぉ~って決心をして、おもむろにシャッターを押させて頂く感じでした。

 というわけでCONTAX-Tは、2回くらいの旅行に同行させたのと、後はカバンの肥やしにしてたのと、街に繰り出して数ショット撮ったというのが正直な所です。

 ちょうど小型カメラならサッと取り出してビシバシ撮れるカメラじゃないとダメだなぁと思い始めていた頃でした。

 CONTAX-TvsもTよりはマシでしたが、重量もかなりありましたのでビシ。。。。?バシ。。。。汗、という感じの撮影感だったように記憶しています。

 そのような有様でしたので上記のようにR1を横目でにらんでいたのでした。

 ある時、友人と催し物に参加した時、グレーのGR1を所持しているのを見つけました。
近寄って問いただすと、これはいいヨォ〜と自慢げに話すのを聞きました。

 うっ!うっ!。。汗

 。。。ということで一晩藪睨みになるほど横目で睨んだ後、いよいよ翌日からスッパリと横目でにらむのを止め、正面睨みに変えてしまいました。

 この身代わりの速さは自分で言うのもなんですけど、潔かったですね。単に直ぐに欲望に負けてしまっただけかもしれませんが。。。

 結果、お殿様高級コンパクトであるCONTAX-Tを売り払って、僅かの追金をして黒色のGR1を買ってしまいました。
 予想に違わずというか、予想以上の使い勝手の良さ(*1)、撮影画像のシャープさ、露出の適正さは別世界でしたね。

 GR1: http://www.ricoh.co.jp/camera/cameralist/GR1.html

 また、薄い本革製のソフトケースが付属していたと思いますが、このケースが薄くコンパクトで使い勝手が最高でした。

 というわけで、私の初代GRであるGR1は、いつでもどこでもお供達、サッと出してはビシバシ撮るという撮影ライフを初めて実現したカメラでした。此のカメラは非常にコンパクトなのと優秀なので、結局日本全国、海外は米国、メキシコ、ヨーロッパを巡りました。

 このGR1は、非常に悲しいことに、イタリアのパドバからカムチーア・コルトーナへの移動中の電車内で、盗難にあってしまいました。あのときのフィルムにはパドバのホテルで仲良くなった従業員の方々の写真が入ってたので本当に残念でした。

 幸い、このイタリア行きにはKonicaのライカ・コンパチブル距離計連動カメラであるヘキサーRFとライカのレンズを持参していましたので、その後の旅行の撮影は何とか大丈夫でした。このカメラもライカM6に負けないというか、むしろM6を凌駕した扱いやすいカメラでした。

 ちなみに盗難にあう1本前のフィルムに撮影したノーファインダーのショットが下の写真です(*2)。やはりこういうのを撮るにはノーファインダーでないと気恥ずかしいですよね。

 今現在の私の年齢だと、堂々とファインダーを覗いて撮ってしまいそうです。。。



その後、リコーからは21mmのレンズを搭載したGR21も発売になりましたし、評判になったGR1およびGR21のレンズが単体で売りだされました。21mm単焦点のコンパクトカメラというのは例がなく、狭い路地でのスナップに使えるとは思いましたが、単体レンズが発売されたこともあり、そちらを入手いたしました。


*1: 持ちやすく、グリップしやすい、またある程度写真撮影に慣れておられる方々もそうでしょうが、絞り値の調整、露出補正は頻繁に使われると思いますが、この調整がダントツにやりやすかったですね。
*2: ネガフィルムからデジタル変換したものです。


フィルム時代の面影を慕って、あの撮影感触をもう一度ということでGRを購入!





レンジファインダー・カメラのお話が出ましたので、ついでにお話しましょう。

 高校時代に、父が一眼レフカメラを買ってくれるまでは、いわゆるレンズ一体型レンジファインダーカメラだったのです。

 これは、この時代において社会的にはもっとも一般的な「カメラ」でした。

 一眼レフカメラは、中学時代にニコンFを持っていたクラブ(ブラスバンド)の友人がいて、運動会でそれを持ってきてましたので、大変羨ましかったことを覚えています。

 なぜ羨ましいかというと、運動会で自分の好きな女の子を好き放題、それも多少遠方にいてもアップでスナップできるからでした。「憧れの女の子の写真を取りたい!」というのは写真を撮る行為としては、非常に純粋な動機ですね。それに本当に撮影に意欲的です。多少の困難はまったく厭いません。
 「写真を撮る」ということにおける大切な要素を、この時代に学んだと思います。

 私の誕生日祝いに、父が大枚はたいて大阪の叔父に頼んで買ったニコマートFTNが、ある朝私の枕元に置いてありました。大阪の出張から帰ってきた父が早朝置いてくれたのでした。私は、その朝は天にも登る喜びようだったのを今でも良く覚えています。

 レンジファインダーカメラについては、歴史的にはキエフ、ゾルキー、ライカM3、ミノルタCLとCLE、ライカCL、ライカM6、コニカヘキサーRF、レオタックスと使いました。
このうちの4台は米国で購入したものです。この内今、手元にはライカとコニカとレコタックスが残っています。




最後に、リコーと言えば思い出される二眼レフについて少し書いておきます。

 なぜそれを思い出すのかというと、私が小学生のときに叔父が持っていたこととレンズの形状に特徴があったからです。

 ★二眼里程標:http://www.tlr66.com/pqrst/ricohflex7.php

 二眼レフですからレンズは上下に2個ついています。上のレンズがピント合わせ用、下のレンズが撮影用です。この上下2つのレンズは、ピント合わせ時には同期して前後に動く必要があります。

 一般的なといいますか、ローライを代表とした高級〜中級の二眼レフカメラは、上下2個のレンズが可動式のボードに一体で取り付けられていて、カメラ側面に設置されたピント合わせノブの回転に併せて前後にボード全体が動くという機構でした。この機構を実現するためにはノブの回転をボードを前後させる動きに変えてやる精密な仕組みが必要でした。

 それに比べリコーの二眼レフは、上下2個のレンズの周辺が向日葵の花のようにギザギザの歯車になっていて、上下のレンズの歯車が噛み合っていました。ですから下のレンズを右に回すと上のレンズは左に回転する仕組みです。上下で逆の回転をして前後にレンズが移動するようになっていたのです。シンプルで確実な動作が可能で質実剛健、しかも大変安価に作成できる(のでしょうね、きっと)機構を採用していますね。

<その2に続きますが、現在作成中ですm(_ _)m>