2013年11月11日月曜日

Olympus OM-D E-M1 ハイレベルでバランスが取れてる高機能デジタル一眼カメラ

    *レンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

【デザイン】
・ボディ:一眼デジタルカメラとしてOMシリーズに大変良く似た引き締まった形は非常に好ましいと思います。これを見てから他社の製品を見るとまるでメタボに見えてしまいます。操作性の良さにもつながっているデザインだと思います。
・レンズ:少し艶がある黒色ですが、非常に品位があるデザインです。ボディ同様操作性の良さにつながるデザインがされています。

【画質】
・ボディ:マイクロフォーサーズ・カメラの中では最高の画質だと思います。他の機種はシャープに見せるためエッジを立てたり、色を濃くしたりしているものが多いのですが、E-M1は合焦点も自然さがあり、色もニュートラルに近いものがあります。そのせいか撮影後の調整もしやすいように感じました。
・レンズ:どの焦点距離でも、どの絞り値でも画面全体で均質でシャープ、破綻がないように感じます。

【操作性】
・ボディ:このカメラの最も優秀な点の1つは操作性だと思います。グリップ上部の2つのダイヤルはユーザーが機能を指定できますが、右手の親指と人差指で非常に快適に回すことが出来て、撮影時の微調整が本当にやりやすく、ファインダーから目を離さずに行うことができます。プロ、ハイアマチュアが行う撮影時の実際の操作を良く考えた機能だと感心しました。その他の操作も快適です。
・レンズ:マイクロ・フォーサーズ用ということもあり、F2.8通しでもフルサイズの標準レンズ程度の大きさで、大変握りやすい大きさです。またズームリング、ピントリングも少し粘りがありかつスムースで、フィルム時代の一眼レフのレンズの操作感同様感じが良いですね。AFからMFへの切り替えが、他のオリ社の単焦点レンズのようにピントリングを手前にスット引くだけで行えるのも使いやすさにつながっていると思います。ただし、マニュアル操作への切り替えのためにリングを手前に引く構造は、他の単焦点レンズでも採用されていて非常に便利なのですが、鞄から出すときにどうしてもレンズを握って出しますので、無意識のうちに動いていてファインダーを覗いてシャッターを半押ししてもAFが動かないことが多かったのはどうでしょう。功罪ありますね。

【バッテリー】
このカメラの数少ない弱点だと思います。新しい仕様のバッテリーになってますが、持ちが思ったほど良くありません。まる1日撮影するのであればスペアーは必携です。スペアー・バッテリーをお持ちでなければ、コンティニュアス・オートフォーカスなどを切ったり、小まめに電源を切ることをお勧めします。

【携帯性】
携帯性は私がE-M1を最も評価する点です。
携帯性は画質と反比例するところがあって、そのバランスが大切だと常々思っています。
カメラメーカーの宣伝文句やヨイショしたカメラ雑誌の記事に惑わされず、「実際に自分が必要とする画質」と「持ち歩いて許容出来る大きさ・重さ」のバランスを常に意識しなさいと自分に言い聞かせています。
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私が必要とする画質は、半切・四切あるいはA3程度までトーンを含めて破綻なくプリントできる程度です。
また、私が許容出来る大きさ・重さは、交換レンズを含めて2週間程度の海外旅行に行き、街を村を撮影して歩いても負担にならない程度です。
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その点で、私にとってはマイクロフォーサーズ・カメラは大変バランスが良く、高画質・高機能を追加して少し重くなったE-M1も許容出来る範囲内にあると思います。

より具体的には、E-M1はオリンパス社の他のマイクロ・フォーサーズ・カメラに比べるとペンタ部の出っ張り、グリップ部の出っ張り分は大きくなっていて、併せて剛性を高めたための重量の増加は携帯性を低めていますが、その分操作性の良さや機能性を高めてますので、やむを得ないでしょう。他社のAPS-Cカメラやフルサイズカメラに比べると格段に携帯性は良いと思います。またレンズが小さくなっている分、この標準ズーム程度だと首からかけた時、カメラが下にオジキをすることが無いのは非常に携帯性を高めています。

【機能性】
カメラとしての基本的な機能は、最小シャッタースピード、ブレ補正、AFスピード、コマ送り速度、シャッタータイムラグなどがどれくらいかが問われると思っています。フラグシップ機としてほぼ全体をクリアできていると思います。
その中で特筆すべき点は2つあります。
1つは、AFスピード。これまでもマクロ・フォーサーズカメラは、アダプタ使用でフォーサーズ用レンズが使用できましたが、AFスピードが大変遅いことが難点でしたが、これを2種類のAFシステムで快適なスピードを確保できています。
2つ目は、ブレ補正です。ファインダー内表示もブレ補正がかかってますし、何よりも5軸ブレ補正はE-P5とともに唯一無二の強力な機能を持っているのが心強いです。回転ブレは実際には頻発しているようなのですが、他社製品では補正ができません。

【液晶】
大きく明るくクリアーで大変見やすくなっています。反応も機敏で充分な性能を持っていると思います。E-5にはあった回転が無くなったのは残念ですが、これを搭載すると恐らくボディサイズがアップすることが予想されますのでやむを得ないと思っています。
ファインダー液晶は非常に高精細でクリアで、大きく明るく光学ファインダーに迫る見え方です。ある意味光学ファインダー

【ホールド感】
手が大きい人には手が余るというご意見も見受けられます。私は手がかなり大きい方なのですが、ボディがコンパクトなので逆に手が余るという感じはしません。大きな手に併せてグリップを作成するとボディをより大きくせざるを得なくなり、逆に好ましくないと思います。

【総評】
デジタルカメラもいろいろなメーカーのものを20台近く購入して使ってきましたが、このカメラはデジタル時代になってから初めて私に写真を改めて本格的に撮りたいと思わせたカメラとなりました。

このカメラを入手してから、改めてどういうカメラのサイズが望ましいのかを考えました。
その結果、私なりに出した結論があります。
日常的に携帯し、激しい撮影時にも扱いやすいカメラの大きさとはどれくらいなのかという点がポイントなのではないかということです。
フィルムカメラ時代には、4X5, 8X10などの大型カメラ、ブローニー判カメラ、35mmカメラ、16mmカメラ、110カメラなど、さまざまな大きさのフィルムを使用するものが発売されてました。でももっとも長年もっとも大量に使用されたのは35mmフィルムを使ったカメラでした。そしてそれを生み出したのはライカで有名なライツ社でした。初期のライカではなく広く使用されたバルナック型ライカ、戦後のMシリーズライカが参考になると思います。世界の、そして日本の後発のカメラメーカーは、長年このライカのサイズを参考にしてきました。もちろん例外的なサイズのカメラも出されてきましたが、スタンダードなのははやりライカのサイズであったように思います。
35mmフィルムカメラは、もともと映画用フィルムを使った写真用カメラをライカが考案した時、どれくらいの大きさのカメラが扱いやすいかについて熟考した結果だと思われます。それがバルナック型ライカだったと思うのです。
35mmフィルムカメラは、大戦前に既に距離系連動式のバルナック型ライカが流布していました。大戦後、距離系連動機構が革新されたM型ライカ、あるいはコンタックスが発売されます。ここでボディは少し大きくなってしまいます。

このドイツにおける距離計連動カメラに技術的に追いつけない日本のメーカーでは一眼レフカメラに方向を転換します。
より見た目通りに撮影できる一眼レフ・ファインダーは画期的でしたが、ここでボディは更に大きくなります。
そんな中で、フィルム時代に革新的な一眼レフカメラが登場します。
オリンパス社のOMシリーズです。
他社一眼レフと比べても非常に引き締まってライカのMシリーズを意識したような大きさで非常に使いやすいボディでした。

フィルムカメラ、特に他社の一眼レフカメラはその後AEAFを搭載し、加えて電動連写機能を高速化し、衝撃性も強化します。それにつれてボディの大きさはどんどん大きくなります。
この時のボディの大きさを参考にしながらデジタル化が進んでいきます。
35mmフルサイズの受光素子を実現するためもあり、ボディの大きさは持つことが出来る限界に近づいていきます。

では、デジタル化したカメラが35mmフルサイズの受光素子を本当に必要とするのでしょうか。
この問にたいする私の考え方は、上記の「携帯性」の項目で記した内容をご参照いただければと思います。

E-M1は、これらOMシリーズのサイズ、操作性、剛性、品位をデジタル版で実現したカメラだと感じました。

そして写真を撮るには、何がどのように必要かを一から考えなおされた非常に優れたカメラだと高く評価しています。






*作例は全てOM-D E-M1とM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO